落ちた色がまさかの復活!?今話題のシミ抜き技術“色かけ”とは?

クリーニング技術の向上は日進月歩。

最近は科学の力を尽くした新しい家庭用洗濯機や洗剤の研究・開発も進み、ご自宅でもプロ並みの仕上がりで洗濯ができるようになりました。

しかし、それはあくまでも私たち一般人が行う“プロ並みの仕事”である事実に変わりはなく、クリーニング店による“プロの仕事”との間には、当然ながら越えられない高い壁が存在します。

そのひとつが、シミ抜きによって抜けてしまった色を復活させる“色かけ”と呼ばれる技術です。

 

クリーニングの在り方を変える“色かけ”技術

たように、科学の進歩と共に日々総合的な向上を見せているクリーニング技術。

中でも目を見張るのが、クリーニング店の真骨頂…プロの腕の見せ所ともいうべき“シミ染み抜き技術”です。

シミ抜きは、単にシミを落とせばいいというものではありません。

色柄物にシミがついた場合は、そのままシミ抜き処理をしてしまうと、汚れと共に元の色まで落としてしまう(抜けてしまう)ことになりかねません。

近年におけるシミ抜き技術の向上では、「汚れは綺麗に落とながら、色あせた部分のお色直しも行う」という“色かけ”の技術が大きな進歩を見せています。

 

染色補正や色修正とも呼ばれる“色かけ”という技術は、クリーニング業界だけで行われているものではありません。

たとえば、長い間履き続けて色あせた革靴。

これを修理に出すと、色あせたはずの部分が綺麗にお直しされて戻ってくるケースがあります。

これは色が抜けた部分に改めて色を乗せた結果であり、クリーニングでも衣類に対して同じような処理を行うのが、“色かけ”なのです。

 

色かけを行うと、ひと目見ただけでは元の状態と区別が付かないほど、綺麗な仕上がり状態に復元されます。

こうした色かけのような技術は“テキスタイルケア”と呼ばれ、シミを抜きながら色を蘇らせるという、洗浄技術だけでは補えない一面をカバーするために大きく貢献しています。

 

現代クリーニングは異なる技術と考え方の融合

色かけのような技術は、シミ抜きだけでなく漂白を行う際にも有効です。

多くの方が心配されるのは、「色柄物の衣類を漂白すると、元の色が抜けてしまうのではないか?」ということだと思います。

そんな時には、クリーニングによるしっかりとしたシミ抜きと、色かけの“テキスタイルケア”を施すことにより、漂白処理を行いながらも衣類を元の状態に近づけさせることができます。

 

“テキスタイルケア”はその名の通り、修繕を始めとした衣類のケアが中心のメンテナンス技術で、“元に近い状態に戻す”ということが念頭に置かれています。

一方、クリーニングは量産的な流れの中で行われる洗浄を中心とした技術。

テキスタイルケアとクリーニングの考え方は根本的に異なり、真逆の位置関係にありますが、両者には昔ながらの職人技に近い一面があります。

対象となる衣類に対し、洗浄とケアのどちらに重点を置くかはケースバイケース。

 

「ただ洗うだけのクリーニングから、衣類のケアやメンテナンスも行うクリーニングへ」

 

技術はもちろん、そうした異なるふたつの考え方と技術の両立が、現代におけるクリーニングの大きな特徴であり、仕上がり後の衣類をより最善の状態に保つことに大きく貢献しているのです。

 

 

高度な色かけ技術をマスターしたいあなたへ

ただ、色かけには熟練の職人による非常に高度な技術を要します。

したがって、誰にでも・どこのクリーニング店でも行えるシミ抜き処理ではないということを覚えておきましょう。

どうしても色かけによる修復をご希望の方は、事前にお近くのクリーニング店に問い合わせてみることをおすすめします。

 

それでも「自分の衣類は自分で直したい!」というチャレンジャーなあなた。

実は、色かけは自分ですることも可能なのです。

クリーニングの現場で実際によく使用する色彩を厳選した、“色かけ50色セット”というのがネット上で売られています。

 

ベース色が50種類と豊富に揃っているため、色かけで一番の腕の見せ所となる難所“色の調合”を簡単に行うことができ、作業時間を大幅な短縮にも繋がります。

直接染料なので綿にも耐久性があるほか、

  • 塩素で脱色したもの
  • 洗って取れやすいもの
  • ポリエステル繊維

こうした色がのりにくい素材には、アクリルシリコン樹脂を少し添加するだけで修復できる特徴を持ちます。

基本的な使い方は以下の通りです。

  • 水で希釈して使用
  • 濃度は色の抜け具合に応じて変更させる
  • 色調整は薄い液で比較を行う
  • 色はじきがある場合は、色の調合をした後にアルコールを少し加えて浸透性を上げる
  • 色が抜けた部分の大きさや生地の種類に応じて、筆塗り、スプレー、 綿棒などを使い分ける
  • 色どめしたい場合は付属のMC-ファイナルX、あるいはアクリルシリコン樹脂を100倍程度に薄め、筆塗り、スプレー処理を行う

色かけ技術をマスターできれば、クリーニング業界への転身で成功できる…かもしれませんよ。。。