「花粉が付きやすい花」と言うと、あなたは何を思い浮かべますか?
恐らく、多くの方が「ユリ」とお答えになるのではないでしょうか?
「ユリ」は、北半球のアジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの亜熱帯から温帯、亜寒帯にかけて広く分布している多年草。
その花粉は、稲や杉のようなサラサラのパウダー状とは異なり、「ネチネチ・ベタベタ」しています。
これはユリが、花粉や蜜を目的に飛来してきた虫(ハエ・蝶・ハチなど)の働きによって交配を行う「虫媒花」であるため。
虫に花粉を運んでもらう時、少しでも粘り気がある方が運んでもらいやすくなるのは、何となく想像できますよね。
しかし、ユリにとっては好都合なその粘り気も、人間にとっては厄介そのもの。
ひとたび衣類に付いてしまうと…さあ大変!
そんな時、ユリに限らず花粉が衣類に付着してしまった場合に絶対にしてはいけないNG行為があることを、あなたはご存知でしょうか?
それは、「水で洗い流す」ということ。
花粉のシミに水はご法度なのです!
花粉が衣類に付いてしまうと、つい慌てて水で洗い流そうとしがちですが、水では落ちないばかりか、かえってシミを落ちにくくしてしまいます!
では、衣類に花粉のシミが付いてしまった場合は一体どのように対処すればいいのか、一緒に見て行くことにしましょう。
まずはコレを揃えよう!花粉のシミ抜きで必要なもの
✔掃除機
✔タオル
✔キッチンペーパー
✔ベンジン
✔歯ブラシ
✔ドライヤー
✔霧の細かいスプレー
✔輪ゴム
上記に挙げたアイテムは、どれも一般的なご家庭にもある物ばかりですよね。
ベンジンは薬局やドラッグストアー、ホームセンターなどで販売されています。
花粉の染み抜き方法
1.掃除機についている長方形の吸い込み口を外し、筒の先端にタオルを被せます。
※被せたタオルは輪ゴムなどでしっかり固定しましょう
※タオルは一重で被せれば十分です
2.タオルを被せた掃除機で、花粉のシミが付いている部分を吸い、衣類の表面に付着している花粉を取り除きます。
※最初は掃除機の吸引力を「弱」に設定しておきましょう
※花粉の取れ具合を確認しながら、必要に応じて吸引力を調節してください
3.上記の2を終えた段階で完全にシミが取れず、まだ花粉が残っている場合は、シミがついている部分の下にタオルかキッチンペーパーを敷き、ベンジンを染み込ませた別のタオルで花粉のシミが付いた部分を優しくトントン…と叩いてください。
※タオルに花粉のシミを移していきます
※ベンジンの量にもよりますが、衣類にベンジンが付いたまま、掃除機で花粉を吸い込む行為はお止めください。
掃除機が壊れる原因になります。
以上の方法で、大抵の花粉のシミは取り除くことが可能になります。
しかし、一度でも水洗いしてしまった花粉のシミは家庭で落とすのは極めて難しくなり、場合によってはクリーニング店のプロにお願いしても困難になることがあります。
ですから、何度でも言わせて頂きます。
「衣類に付着した花粉は、絶対に水で洗い流してはいけません!!」
それでもダメなら・・・花粉のシミ抜き最終手段
花粉のシミ抜きで水はご法度…確かにそう何度もお伝えしてきましたが、上記の方法を試したにも関わらず、花粉のシミを取り除けない場合は、台所用洗剤などを使うとシミが落ちるケースもあります。
それでもダメならさらにその後、漂白のシミ抜きをすることで除去できるケースも。
しかし、この方法は絶対ルールである「水禁止」の決まりに背く形になりますので、あくまでも最終手段とお考えください。
花粉が衣類に付いてしまった場合は自分で無理にシミ抜きを行わず、クリーニング店でプロに相談するのも賢い選択だと思います。
花粉のシミ抜き…もうひとつの注意点
花粉のシミ抜きを行っていると、衣類の種類によっては、「輪ジミ」ができる場合があります。
輪ジミとは、除去対象のシミの周りにうっすらとできてしまうワッカのような丸いシミのことで、シミ抜きに使った水や有機溶剤に付いた汚れの残りが溶けて周囲に広がることによって発生します。
しかしこの輪ジミ、衣類の種類だけで事前に発生するか否かの判断ができません。
これからご紹介する方法で、輪ジミはある程度取り除くことはできますが、結果的にかえって大きな輪ジミになってしまう可能性もありますので、それを承知の上で自己責任の元お試し頂ければと思います。
- 出来るだけ細かい霧の出るスプレー容器の中にベンジンを入れる
- それを輪ジミの出来た部分に少しずつかける
- スプレーした部分をドライヤーで乾かす
輪ジミの範囲があまりに広い場合は、この方法で取り切ることは困難です。
その際には出来るだけ早くクリーニング店に相談し、プロの判断を仰ぎましょう。
一般的に、輪ジミはドライクリーニングをすれば除去できるケースが大半となっています。