全国に星の数ほど存在するクリーニング店ですが、個々のお店に目を向けてみると、
- 低価格が売りのクリーニング店
- 高級仕上げが売りのクリーニング店
- スピード仕上げが売りのクリーニング店
- 接客態度が好印象のクリーニング店
ひと口に“クリーニング店”と言っても、その形態は実に様々です。
しかし、どの店にも共通して言えることは、“シミ抜きの技量”を売りにしているということです。
シミ抜きこそクリーニング店の真骨頂…と言っても過言ではありません。
ところが、実際にクリーニング店を利用した人の声に耳を傾けてみると、必ずしもそうとは言えない現実が見えてくるのです…
クリーニング店のシミ抜きには不満を持つ人が多数
クリーニングに出した衣類で取り除けないシミがある場合、一般的には「生地が傷むのでこれ以上取れません」というカードがついてきます。
しかし、それを受け取った側からすれば、
「本当にシミ抜きをしてもらえたのだろうか?」
「本当に落としきれないシミだったのだろうか?」
こうした疑問を感じてしまってもおかしくはありません。
確かにクリーニング店にシミ抜きをお願いしても、全てのシミが綺麗に取り除かれるとは限りません。
シミの状態や生地の種類、染色状況によっては取れないシミも存在しますが、一番の問題は「シミ抜きこそ腕の見せ所」としているはずのクリーニング店にも関わらず、実際には各店舗によって大きな差があるというのが現状です。
一部では、「2人に1人が現状のクリーニングに不満を持っている」というアンケート結果があり、その不満の第1位こそが「シミ・汚れが落ちていない」という結果になっていることから、「シミ抜きを徹底しているクリーニング店は極少数」という見方もあるほど。
中には、端からシミ抜きを全く行っていないクリーニング店も存在し、本来であれば簡単に取れるはずのシミも取れないものとして処理しているクリーニング店が多いのです。
クリーニング店に対して「シミ・汚れが取れていない」と不満をもっている方が多いと言う事実。
では、なぜプロのクリーニング店であるにも関わらず、そうした事態が起きてしまうのでしょう。
その理由は主に、次の2つが考えられます。
理由その1~クリーニング店がシミ抜きを行っていない、または技量が足りていない
これは当然と言えば当然の結果と言えますが、シミ抜きを端から行っていない、あるいはシミ抜きの技量が不足しているクリーニング店に依頼してしまっては、落ちるはずのシミも落ちるわけがありません。
シミ抜きの技量に期待するのであれば言うまでもなく、シミ抜きに対して真摯に向き合っているクリーニング店を選ぶ必要があります。
ところが、実際には「家の近所だから…」というような安易な理由でクリーニング店を選んでいる方が多いため、2人に1人が不満を持つ結果になってしまっていると思われます。
理由その2~衣類に対するダメージのリスクを避けるため
では、そもそもなぜ、落とせるはずのシミも落とそうとしないクリーニング店が多いのでしょう?
まず、シミの種類は水溶性のシミと油性のシミに大きく分けられます。
これらのシミを除去すること事態はそれほど難しいことではありませんが、問題はこれらのシミが時間の経過と共に“黄ばみ”に変化するという点です。
黄ばみは水処理や油処理だけでは除去することが困難で、多くのケースで漂白処理が必要になります。
ところが、この漂白処理を行うと、衣類にダメージを与えるリスクが高まってしまうのです。
ここで言うリスクとは、衣類の地色がハゲる“脱色”を指します。
一度色ハゲ(脱色)を起こしてしまった衣類は、“色かけ”という特殊な技術を用いらない限り、元に戻すことはできません。
色かけを行うには熟練の腕が必要になりますし、脱色を起こした衣類は、当然そのままお客さんの元へ返すわけにはいかないため、クリーニング店は何らかの形で賠償しなくてはいけなくなります。
賠償額は“クリーニング業法”の賠償基準第4条で定められた、『物品の再取得価格×物品の購入時からの経過月数に対応して定める補償割合』によって算出されます。
そのため、たとえ数百円のクリーニング代であっても、衣類を賠償することになれば何倍もの金額になってしまうため、それが頻発してしまってはお店にとって大打撃と言わざるを得ません。
従って、賠償のリスクを避けるためにあえて漂白処理を行なわない…というクリーニング店が数多く存在し、「このシミは取れません」とするクリーニング店が大多数なのです。
とは言え、全てのクリーニング店がそうしたリスク回避型の経営をしているわけではなく、確かな技術でしっかりとシミ抜きを行っているクリーニング店も存在します。
「どこのクリーニング店に依頼をするのか?」という判断は、最終的に私たち利用者に委ねられることを忘れないようにしましょう。