衣類のラベルに印刷される洗濯表示。
それは、洗濯を行う上で欠かすことの出来ない存在ですが、現在の洗濯表示は早ければ2016年の末頃から順次、新しい表示へと全面的に切り替わることを、あなたはご存知でしょうか?
実は1968年から使われてきたこれまでの洗濯表示は、日本独自の“JIS規格”に則ったもの。
それが今回、欧州を中心とした国際規格“ISO”との整合が図られ、新表示の登場となりました。
しかし、新しい洗濯表示はこれまでとはかなり異なるため、理解するには事前の予備知識が必要になりそうなのです…
理解には多少の予備知識が必要な新表示
「論より証拠」ということで、先ずはこちらの画像をご覧ください。

一見すると何かの記号や暗号、はたまた道路標識にも見えてくるこれらは何を隠そう、前述した新しい規格で制定された洗濯表示になります。
左から順に、「ドライクリーニング可」、「酸素系漂白可」、「日陰でつり干し」、「乾燥機可(高温)」となるのですが、パッと見てその意味を瞬時に理解できる一般人は皆無なのではないでしょうか…
恐らく、予備知識がないことにはほとんどの方が、洗濯機を前に頭を悩ませる結果になることでしょう。
こうした新表示を覚えるのは面倒臭いと感じるかもしれませんが、基本のルールさえ覚えておけば理解するのはそれほど難しいことではありません。
洗濯表示変更の背景にあるもの
新しい洗濯表示のルールの解説へ移る前に、そもそもなぜ長年に渡って使われてきた洗濯表示が変更になったのか?という点について触れてみたいと思います。
前述したように、日本の洗濯表示は我が国独自の“JIS規格”に則ったものでした。
しかし、世界に目を向けてみると、洗濯表示は欧州を中心に普及した“ISO(国際標準化機構)”、さらには米国独自の“ASTM”と呼ばれる規格が存在し、そこに日本独自の“JIS”を合わせた三大勢力に分かれていました。
ところが、1995年に世界貿易機関(WTO)で、加盟国に国内規格を国際規格に合わせるように求める取り決めがなされたことをきっかけに、規格を標準化しようという動きが高まったのです。
ISOとASTMの記号は似通っていたことから、大きな混乱も無く互いを類推することが可能と判断されましたが、日本独自のJISとISOでは形状や分類が大きく異なるため、、その統合を巡って長い交渉が行われてきました。
しかしここに来て、ようやくJISとISOの整合性が図られることになり、新洗濯表示へのGOサインが出たというわけです。
新洗濯表示の基本図形と付加記号
ここからは、新しい洗濯表示の解説に移りたいと思います。
JISが定める新洗濯表示は、大きく分けて“基本図形”と“付加記号”の2つから成り立っています。
■基本図形
- 洗濯(洗い)…「たらい」

- 漂白…「三角」

- 乾燥…「四角」

- アイロン…「アイロン」

- クリーニング…「円」

※絞りは廃止
ここで気をつけたいのが洗濯(洗い)の記号です。
現在の洗濯表示では手洗いが「たらい」、洗濯機による洗いが「洗濯機」と、それぞれ2種類の図形が用意されていいますが、新しい洗濯表示ではそれらが全て「たらい」で統一されています。
そのため、「たらい」の表示があったとして、旧表示のように「手洗い」を意味するとは限らないのです。
■付加記号
強弱…「横棒」の数で表示
- 「弱く」

- 「非常に弱く」

※横棒が多いほど弱い
・温度…「点」の数で表示
- 「高」

- 「中」

- 「低」

※点が多いほど温度が高い
現在の洗濯表示では、強弱のレベルを「弱」という漢字ひと文字で表してしますが、新らしい洗濯表示では“横棒”の数で表されます。
1本は「弱く」、2本にになると「非常に弱く」という意味になり、横棒の数が多いほど弱くなります。
ちなみに、横棒の表示がないものは「通常」レベルという扱いです。
一方、温度はというと、現在の洗濯表示では「高」「中」「低」という漢字で表されていますが、新しい洗濯表示では「点」の数で表されます。
点が1つは「低」、2つは「中」、3つは「高」という意味になり、点の数が多いほど温度は高くなります。
完全移行まで時間がある今がチャンス
以上が、新しい洗濯表示の基本となります。
どうしても覚えられない、もしくは覚えにくいという場合、強弱に関してはマイナス(横棒)の数が増えるほど弱くなることから「横棒は力を弱くするマイナス」、温度に関しては点の数が多いほど温度が高くなることから「点は火の数」というように、それぞれ認識しておくと覚えやすくなるのではないでしょうか。
新しい洗濯表示の詳細については、消費者庁のホームページから閲覧することが可能になっています。
気になる方やより詳しく知りたい方は、一度覗いて見ることをおすすめしま す。
慣れるまでには戸惑うことも多いかもしれませんが、完全移行までにはまだ時間がありますので、今から少しずつ学んでみてはいかがでしょう。