正しき洗い方をすればウールセーターも縮まず自宅で洗濯可能!

さて、突然ですがここで質問です。

これからの季節、何かと出番が多くなるウールのセーター。

これを洗濯機で洗ったら…どうなるでしょう?

 

ウールのセーターを洗濯機で洗うとなぜ縮むのか

正解は、“縮んでしまう”です。

結構耳にすることも多い話題ですので、知っている方も多いかもしれませんね。

では、なぜ縮んでしまうのかはおわかりになりますか?

その理由は、ウールが持つ繊維の特徴に隠されていました。

ウール(羊毛)は“獣毛”とも呼ばれていますが、獣毛には他にも、カシミヤやアンゴラ、アルパカ、キャメルなどいろんな種類があります。

今回はその中から、ウール(羊毛)についてご説明いたします。

ウールの繊維を拡大した時に見える、表面の“ウロコ”のようなもの。

これ、何だかわかりますか?

正しくは“スケール”と呼ばれるウロコ状のものは、人の髪の毛で言うところの“キューティクル”に値します。

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スケールには濡れた状態だと“開き”、乾いた状態だと”閉じる”という性質があります。

そのため、開いた状態=濡れた状態ではスケールとスケール同士の絡まりが起こり、結果、硬くなったり縮んだりする現象を引き起こすのです。

こうした理由により、濡れた状態でもみ洗いをしたり、洗濯機で洗うことは控えるべきなのです。

ちなみに、硬く縮んだスケールはまるでフェルト状に目が詰まることから、そのことを“フェルト化”と呼びます。

 

ウールのセーターを水洗いする方法

水に濡れるとスケール同士が絡み、硬く縮んでしまうウールのセーター。

家庭の洗濯機で水洗いしたい時はどうしたらいいのでしょう?

気をつけなくてはいけないポイントは、以下の3点です。

■取扱絵表示を確認する

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先ずは洗濯機で洗えるマークがついていることを確認してください。

確認できたら、ネットの大きさに合わせて畳んでから入れ、手洗いコースで洗います。

洗濯機は使えなくても、手洗いOKのマークがあれば、優しく押し洗いできます。

袖口や襟ぐりなどの汚れが気になる場所は個別に部分洗いをしてください。

■中性洗剤(おしゃれ着洗い用洗剤)を使う

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普段の洗濯で使っているアルカリ性の洗剤は、ウールの繊維にとって大敵です。

洗剤を使う場合は、必ず中性洗剤を使うようにしましょう。

 

■干す時は形を整えて平干しするか、ハンガーを2本使う

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ベストな干し方は“平干し”ですが、平干しができない時にはハンガーを使ってください。

ハンガーはなるべく太いものを選び、肩の部分が重みで伸びないように気をつけましょう。

この時ハンガーを2本使い、裾と袖を掛けて重さを分散させる方法がおすすめです。

 

誰もが一度は経験があると思いますが、髪の毛(頭皮)を石けんで洗うと、途端にしなやかさが瞬時に失われ、洗ってる段階からキュッキュッと軋むような感じになったことはありませんか?

これは石けんが持つアルカリ性に、髪の毛が負けているため。

つまり、羊の毛(ウール)も、人間の髪の毛も理屈は一緒ということです。

少し余談になりますが、某ボディーソープのCMで有名になった「肌は弱酸性」というフレーズ。

髪の毛とは反対に、石けん(アルカリ)で肌を洗い上げるとどうなるのでしょうか?

実は、髪の毛とは違い肌には素晴らしい自助作用が備わっています。

弱酸性の肌がアルカリにより刺激を受けると、人間が本来持つ中和能力により皮脂の分泌が促進されて、肌の表面を弱酸性に戻そうとする力が働くのです。

その結果、皮脂が分泌することで代謝が促され、肌の状態が良くなります。

ですから逆に、この中和能力を超えて手や顔を洗ってしまうと、肌はカサカサになってしまいます。

 

それでもやっぱり縮んでしまった時の対処法

結論から言うと、水濡れして縮んだウールのセーターを、完全に元のサイズに戻すのは無理だということをご理解ください。

ただ、縮み具合がそれほどひどくない場合には、以下の方法で対処できることもあります。

  1. ヘアートリートメント、もしくはリンスを溶かしたぬるま湯にセーターを浸けこみ、軽くしぼった後、伸ばして平干しにします。
  2. アイロンでスチームを掛けながら形を整えて当てます。ただ、この時アイロンを押し付けるようなことはせず、浮かして当てていきます。

最近セーターが暖かくないなぁ…

そんな風に感じてきたら、そのセーターは汚れてきている可能性が大です。

汚れてふんわり感を失ったセーターは、保温力が低下してしまいます。

ふだんからの小まめお手入れで、いつもふっくら暖かな着心地を保ちましょう。

ただし、ウールなどのセーターを洗う時には、どれだけ気をつけていても失敗するリスクは伴います。

「物は試し」と自分でチャレンジするのは構いませんが、大切な衣類の場合は無理せずクリーニング店に相談してみましょう。

素人には無い技を持ち合わせるからこそのプロなのです。

信頼してお任せしましょう。