
水に濡れたお札は縮んでしまう
お札を洗濯物と一緒に洗濯機で洗ってしまう…皆様も、そんな経験一度や二度はあるかと思います。
「やっちまった~」となっても、時既に遅し。
とりあえず乾かしてはみるものの、濡れたお札は乾いた後に縮んでしまうケースが圧倒的。

縮んでわずかに小さくなったお札。
たとえ縮んでも、お札である事実に変わりは無いのですが、そのまま使うことには何だか抵抗を覚えます。
まるで、ニ○札でも使っているような罪悪感に…
うっかり洗濯して縮ませてしまったお札。
どうにかして元に戻す方法はないのでしょうか?
と、その前に。
一度しか経験が無い方ならともかく、何度もお札を洗ってしまった経験を持つおっちょこちょいさんであれば、そこであることに気がつきませんか?
お札は濡れてクチャクチャにはなっても、濡れて“破ける”ことってそうそう無いと思いませんか?
日本のお札は洗濯くらいでは破けない

私たちが普段使っているお札に“和紙”が使われていることは、誰もがなんとなく想像できると思いますが、実はその和紙はお札用の特別なもの。
本や雑誌、コピー用紙などに使われる紙は、一般的に“パルプ”を原料に作られますが、日本のお札の原料には“みつまた(三椏)”や“マニラ麻”などの植物繊維を特殊加工したものが使われているのです。
日本特産の“みつまた”は、柔軟で光沢がある繊維を持ち、高級和紙の原料にも使われています。
一方の“マニラ麻”は、バナナとそっくりな姿をしたバショウ科の植物。
軽く水に浮くのが特徴で、ロープや紅茶のティーバッグなどにも使われていて、最近の日本の紙幣ではみつまたよりもマニラ麻を利用することが増えているそうです。
これらを原料にした紙の特徴は、何と言っても“丈夫”なこと。
そのため、「うっかりズボンのポケットにお札を入れたまま、洗濯機で洗ってしまった!」というような場合でも、簡単に破けてしまうことはありません。
水に濡れても破れることが無いお札は、日本が誇る造幣技術の賜物というわけなんですね。
水に濡れて縮んだお札の行方
さて、日本のお札が水濡れに強いということはわかりました。
では、ここからが本題です。
洗濯して縮んでしまったお札…元に戻すにはどうしたらいいのでしょう?
結論から言うと、
「一度縮んでしまったお札は元に戻りません」
…そういうことです。

中には“増えるワカメ”の如く、もう一度水に浸してシワを伸ばしてからアイロン掛け…という方法を試す方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、残念ながらアイロン掛けをしても縮んだお札は元に戻りません…ご愁傷様です。

法律的に、濡れて縮んだお札をそのまま使うこと自体は違法には当たらない模様。
しかし、銀行では縮んだ紙幣の使用は控えて交換することを推奨しているそうです。
と言うわけで、水に濡らして縮ませてしまったお札は素直に銀行の窓口で交換してもらいましょう。
ただし、破損がひどい場合などは、銀行の窓口を経由して日本銀行で確認してもらうなどの手続きが必要です。
お札に関しては他にも様々な取り決めがあり、日本銀行では破損した紙幣の引き換え基準を以下のように定めています。
■引換対象
- 汚染、損傷その他の理由により使用することが困難となった銀行券
- 磨損その他の事由により流通に不適当となった貨幣
■引換基準
表裏の両面が具備されている銀行券を対象とし、
- イ.券面の3分の2以上が残存するもの→額面価格の全額をもって引換えます。
- ロ.券面の5分の2以上3分の2未満が残存するもの→額面価格の半額をもって引換えます。
額面価格の半額に一円未満の端数がある場合には、これを切り捨てます。
なお、銀行券の紙片が2以上ある場合において、当該各紙片が同一の銀行券の紙片であると認められるときは、当該各紙片の面積を合計した面積をその券面の残存面積として、上記の基準を適用します。

洗濯して縮んでしまったお札の対処法…いかがでしたでしょうか?
とりあえず、お札を洗濯してしまった場合は、出来る限り1枚ずつの状態で乾燥させてお近くの銀行の窓口に持ち込んでみましょう。
日本銀行各支店のホームページでも、こうしたお札に関するトラブルの範例が載っていますので、参考にしてみてください。

水に濡れて泣いてしまったあなたのお札にも、これでようやく笑顔が戻りましたね。
さわやかな日曜~降りそそぐ太陽~
「…ん?」
ジーンズのポケットに何やら覚えのない膨らみを感じ、思わず手が止まります。
一体何だろうと取り出してみると…
「…ああっ!やってしまった…」
そこから出てきたのは、水に濡れてヒタヒタのシワシワになった“お札”だったのです…