袖口が破れたら疑ってみよう…犯人は“漂白剤”と“金属”かもしれないというお話

ある日ふと、お気に入りの洋服に見つけてしまった小さなシミ汚れ。

「おかしいな。ちゃんと洗濯していたはずなのに…」

そんなちょっとしたシミ汚れには、“漂白剤”を使うと効果的です。

漂白剤には“塩素系”と“酸素系”があり、色柄物でも安心して使えるのが酸素系漂白剤と呼ばれているもので、

「液体タイプ」と「粉末タイプ」に分けられます。

それぞれの主成分は液体タイプが過酸化水素、粉末は過炭酸ナトリウムとなっており、こうした漂白剤は私たちの衣類を見違えるような白さにしてくれるのです。

しかし、そこには白さとの引きかえに思わぬ代償が待っていることを、あなたはご存知でしょうか…?

 

衣類に金属が付着することで起きる現象

実は、酸素系漂白剤は時に、衣類へ穴を開ける原因物質になってしまうのです。

厳密には、酸素系漂白剤と“金属”の組み合わせ。

酸素系漂白剤と金属が混ざると強力な酸化反応がおこり、衣類に穴を開けることがあるのです。

でも、ここでひとつ疑問が浮かびませんか?

普段から洗っているシャツやブラウスのどこに金属なんて付いているのでしょう?

それにも関わらず、酸化反応が起きてしまう原因は一体何なのか?

その答えは、時計やネックレスといった、衣類とは別に身につけるアクセサリー類です。

 

アクセサリー類に使われている金属が、気づかないうちにシャツやブラウスに付着するのです。

そしてこの時、付着先の衣類が酸素系漂白剤で処理されていたとしたら…もうおわかりですよね。

金属が酸素系漂白剤と反応して繊維を酸化させ、やがては穴へと成長していきます。

「なぜか左の袖だけが破れ易い」

今までに、そんな経験をされた方はいらっしゃいませんか?

それもこれも、全ては腕時計が擦れた際に付着した金属が原因だったというわけです。

 

作業着の穴は意外な所にも原因が

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しかし、中には金属を大量に含んでいる=穴が開きやすい衣類というのが存在します。

それが作業着です。

たとえば、自動車整備士が着る作業着。

仕事柄、作業着には大量のオイルが付着することも多いでしょう。

そのため洗濯をしても汗のニオイや汚れが落ちにくく、洗剤の他にもついつい漂白剤を入れがちです。

ところが、オイル汚れの中にはたくさんの金属成分が含まれているため、そこに漂白剤を加えてしまっては自ら酸化反応を手助けしているようなもの。

油汚れのシミが綺麗になるからといって直接漂白剤をつけて洗濯をする。

実はこれが、逆に一番繊維を傷めやすい洗濯になっているのです。

 

ちなみに、時計やネックレスなどのアクセサリー類をはじめ、オイルに含まれる金属成分が衣類に付着すると、その金属粉が酸化することで次第に色が変わり、“サビのシミ”になることも。

一度衣類に付いてしまったサビのシミは、洗濯機で洗うだけでは中々落ちない厄介な汚れとなってしまうため、ご家庭で洗う場合は洗濯前に“前処理”を行い、シミを落としやすくしてあげる必要があります。

 

家庭で出来るサビ落としの前処理方法

 

■用意するもの

  • レモン汁
  • お酢
  • 重曹のペースト

■前処理の方法

<レモン汁を使う場合>

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1.サビのシミにレモン汁を垂らします。

2.乾かないようにしたまま24時間放置します。

3.24時間経過後、洗い流します。

それでもシミが落ちない時は、塩を混ぜたレモン汁でシミの部分を少し擦ってから洗ってみてください。

ただし、衣類によっては生地を傷めたり、逆にシミの原因になる場合もありますので、目立たない場所で事前にテストしてから試すことをおすすめます。

 

<お酢を使う場合>

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1.小皿などにお酢を入れます。

2.サビのシミが浮いた部分をお酢のなかに浸して24時間放置します。

3.24時間経過後、洗い流します。

使用するお酢は、料理を作る時に使用する一般的なお酢で構いません。

 

<重曹のペーストを使う場合>

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1.重曹を水で溶いてペースト状にします。

2.サビのシミ部分にペースト状の重曹を塗り、3時間ほど放置します。

3.3時間経過後、洗い流します。

使用する重曹の量は、お好みで構いません。

摩擦に強い生地の場合は、歯ブラシで擦ってから洗うとより効果的です。

 

お酢やレモン汁が効果的なワケ

サビのシミ落としにお酢やレモン汁を用いるのには理由があります。

サビ(酸化鉄)は酸に反応しますので、お酢やレモン汁に含まれるクエン酸や酢酸などの“酸”に反応するため、サビのシミ落としには効果的なのです。

ちなみに、お酢を使用した場合でも、あのツーンとする臭いは洗濯をすると消えて残るようなことはありませんのでご安心ください。

どうしてもシミ汚れが残る場合には、前処理後に酸素系漂白を試してみてください。

あくまでも、“前処理後”ですよ!

今回ご紹介した方法は、洋服の素材や色柄によってはご家庭で対処することができません。

サビの状態や種類によっても結果は異なりますので、ご自分での処理が不安な時は、お近くのクリーニング店へ相談しましょう。