先ずはこちらの数字をご覧ください。
- 電気…1日(50%)/4日(90%)
- 水道…6日(50%)/23日(90%)
- ガス…23日(50%)/34日(90%)
これは、2011年の東日本大震災発生時に被害を受けたライフラインが、50%および90%復旧するまでに掛かった日数を表しています。
ひとたびライフラインがストップすると、私たちの生活は大きな制限を受け、あらゆる面で支障を来たすことになります。
そうした際に起こりうる避けては通れない問題のひとつが、普段何気なく行っている“洗濯”ではないでしょうか。
災害時に想定される3つの洗濯ケース
上記の数字はあくまでも平均値ですので、被害状況によってさらなる日数を要した地域も当然ながら存在しています。
ちなみに、これが今後30年以内に70%の確率で発生すると推定されている“東京湾北部地震”になると、
- 電気…4日(50%)/6日(90%)
- 水道…4日(50%)/25日超(90%)
- ガス…35日(50%)/55日超(90%)
このような復旧目標日数が設定されています。
いつどこで襲い来るかもわからない、地震をはじめとした様々な自然災害。
災害発生直後は身の安全の確保に精一杯で、身なりに気を使っている余裕などないのが実情です。
ところが、それも3日、5日、7日と経過していくと、私たち人間は次第に衛生面で大きなストレスを感じるようになってきます。
災害後の被災生活とはいえ、着の身着のままで汚れた衣類というのは、やはり気持ちの良いものではありません。そのため、「洗濯したい」という気持ちが芽生えるのは、ごく当然と言えるでしょう。
しかし、肝心のライフライン…中でも“水道”が復旧しないことには、その洗濯もままなりません。
災害後の洗濯が困難な状況ついては、主に以下の3つのケースが想定されます。
✔ わずかな水が確保でき、少量の汚れ物であれば洗濯可能
✔ 電気も復旧して洗濯機も使えるが、水は給水車頼み
どれも普段通りの洗濯が困難な状況に変わりはありませんが、それぞれのケースに適した洗濯方法というのは少なからず存在します。
そこで今回は、それぞれのケースごとに最適な洗濯方法を見てみることにしましょう。
水自体の入手が難しく、全く洗濯ができないケース
水が入手できない状況下では、やはり洗濯自体が困難になりますので、「いかに洗濯しなくてもOKな状況を作れるのか?」という点がポイントになってきます。
✔ 防災用品に使い捨ての下着等を加えておく
✔ 衣類の着用期間を出来る限り延ばす
✔ 汚れよりも“ニオイ”を抑えることに重点を置く
水を使った洗濯が出来ない時は、使用済み衣類に抗菌消臭スプレー等を噴霧して天日干しするだけでも大きな効果があります。
わずかな水が確保でき、少量の汚れ物であれば洗濯可能なケース
たとえお風呂の残り湯や加湿器内等に残された雑水であっても、災害時には貴重な“水”であることに変わりはありません。
少しくらい洗濯に回せるだけの余裕がある場合でも、出来る限りの節水を心掛け、以下の点に注意しながら手洗い洗濯をするようにしましょう。
✔ 予め洗濯物を漬け置きして汚れを落ちやすくしておく
✔ 洗剤は使わない、もしくはすすぎが少なくて済むような洗剤を選ぶ
✔ 洗濯に使った水は捨てることなく、便器の洗浄などにも利用する
ちなみに手洗い洗濯では、洗濯物1kg当たり10L程度の水が必要と言われています。
電気が復旧して洗濯機も使えるが、水は給水車頼み
電気が復旧し、洗濯機が回せるようになったとしても、一般的な全自動洗濯機を使った洗濯で使用される水の量は、およそ100Lにも及びます。
これを、災害時に水の貯水や保管でよく使われる18Lのポリ缶で換算すると、単純に6回は給水に並ばなくてはいけなくなりますので、ここでも節水を心掛けた洗濯に迫られるのは言うまでもありません。
そんな時には常時用の節水洗濯として、18Lのポリ缶2個分の水で済ませる以下の方法をお試し下さい。
18Lポリ缶一杯分の水に洗剤の液をキャップ3杯入れて、その中に洗濯物を6時間以上漬け置きする。
■洗濯
通常時の使用量の1/4程度の洗剤を入れ、約5分間洗濯機を回す。
■脱水
洗濯が終了したら、そのまま約3分間脱水を行う。
■すすぎ洗い
新たに18Lポリ缶一杯分の水を入れ、約5分間すすぎを行う。
■脱水
最後にもう一度、約3分間脱水を行う。
■天日干し
災害時につき、多少の洗い残りやすすぎ不足には目を瞑るように。
今回はポリ缶2杯分の水で済ませる方法をご紹介しましたが、さらに水が少ない状況下では上記の方法で洗剤を用いず、さらには洗濯後のすすぎも省いて脱水のみを行うようにすれば、ポリ缶1杯分の水で洗濯することも可能です。