受付が司令塔!?クリーニング店の質は意外な所で決まっていた

家庭用洗濯機では落としきれない汚れも何のその。

全国各地、コンビニの数以上存在するクリーニング店の存在は、今や現代人の私たちにとって欠かせない存在となりました。

そんなクリーニング店の仕事とは何でしょう?

それは言うまでも無く、お客さんから預かった品を綺麗に洗ってお返しすることです。

そして、そうした作業の出来栄えは、事前の“検品”によって大きく左右されるのです。

検品とは、「お預かりした品のどこにどのような汚れがあるのか」をチェックする作業。

 

「検品無くして綺麗な仕上がり無し」

 

今回は、そんなお話をしてみたいと思います。

 

洗う前に大切な品物のチェック

前述したように、クリーニング店の仕事は“洗浄”“乾燥”“プレス”といった現場作業と合わせ、汚れや衣類の状態を事前に把握する“検品作業”から成り立っています。

検品作業を受け持つ人は、いわばクリーニングの司令塔。

現場で実際にクリーニングに当たる作業員は、検品作業の結果(指示)を元に仕事を進めていきますので、検品が正しく行われるか否かによって、最終的にはお店の質や印象までもが変わってくるのです。

そんな重要ポストである司令塔を担うのが、店頭でお客さんと直接顔を合わせる受付スタッフです。

受付スタッフの役割は、ただ笑顔で挨拶をして洗濯物を預かるだけではありませんよ。。。

 

2つの工程で進められる検品作業

検品作業は2段階に分かれていて、最初の検品はお客さんから預かる時、その場で行われます。

この時の検品作業で確認するのは、

衣類の種類

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お預かりする点数

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ポケットの中

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目立った汚れやシミ

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といった、必要最小限の項目になりますが、同時に重要視されるのが“スピード”です。

人間は待つことを嫌う生き物。

待ち時間を極力無くし、お客さんに長居をさせない…それが、“デキる”受付スタッフに必要なスキルと言うわけです。

その後、お預かりした品にはそれぞれのお客さんの目印となるタグ付けが行われますが、本格的な検品はこの時に行われ、作業者への最終指示が確定します。

  • シャツのタタミ仕上がり
  • ハンガー仕上がり
  • ノリなし
  • ズボンのラインなし

などなど、お客様の好みや要望を作業者に伝える受付スタッフの役割は、まさに司令塔。

的確な指示があるからこそ、クリーニング工程でのリスクが軽減され、衣類のコンディションが守られるのです。

これらは全て、受付スタッフの力量で左右されると言っても過言ではありません。

 

大切な衣類…検品はこうして行われている

それではここで、検品作業の実例をご紹介いたします。

たとえばこちら。

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大きなボタンが特徴的な女性用の春物コートですが、こちらのコートはそのままクリーニングにかけてしまうと、ボタンを破損してしまう恐れがあります。

そんな時にはボタンをアルミホイルでくるみ、保護するのです。

 

また、別の衣類では袖口のボタンが取れていることに気づきました。

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これをそのまま見落としてしまうと、「どの段階から取れていたのか?」という判断がつきません。

そんな時は検品の段階で、右袖にボタンの外れがあることを示すタグを付け、クリーニング作業者にその旨が伝わるようにサポートします。

検品による各所のチェックは、ただの作業指示に留まらず、衣類の状況を正確に伝えることでトラブルを防止する役目も担っているのです。

お客さんをとお預かりした衣類への気遣い…それも受付スタッフの重要な仕事のひとつと言えます。

 

受付スタッフの検品があるからこそ

お店によって比重の置き方に多少の差はあると思いますが、検品による素材、シルエット、ダメージの有無などのチェック作業は、衣類の「洗浄」「乾燥」「プレス」といった作業と同じくらい時間と手間をかける大切な工程であることに違いはありません。

中には全ての衣類を採寸し、その結果を記録するクリーニング店も存在するほど。

一方で、時間がないお客さんの場合は、即日仕上げでお渡しできるように必要最小限の検品のみを行うなど、それぞれのニーズに合わせて臨機応変に対応しているお店もあります。

私たち利用者は、ついつい仕上がり品の出来ばかりに目を奪われがちですが、あなたがクリーニング品を預けた受付スタッフの存在があるからこそ、納得の仕上がりになって返ってくることを忘れてはいけません。

そして、自分の洋服に対する感覚やファッションへのこだわりと、受付スタッフによる洋服の扱い方を比較し、利用する側とされる側、両者の価値観が一番似ているお店を選ぶことが、クリーニング店を選ぶ条件として重要なのではないかと思います。
これからは、クリーニング店をただ衣類を綺麗にする“洗濯屋さん”ではなく、衣類のコンディションを最善に保ってくれる“メンテナンス屋さん”という捉え方をしていけば、今まで以上に自分とマッチしたお店に出会うことができるのではないでしょうか。