あまり知られていないクリーニング店の実態~その作業工程とは?

えっ!アイロン掛けは人間がしていないの!?

皆さんがクリーニング店で思い浮かべることはどんなことですか?

「大きな作業場で汗をかきながらYシャツやズボンをアイロン掛けしている人の姿」ではないでしょうか。

しかし今では、ほとんどのクリーニング店ではアイロン掛けしている姿を見ることはありません。

もちろん今でも昔ながらの技法を用いて1点ずつ手作業しているお店もありますが、現在のほとんどが機械で仕上げています。

Yシャツの場合ですと、1時間に1000枚以上、ズボンでは50~60本仕上げられる機械があり、その機械に2~3人ほどの作業員がいればできてしまうようです。

そう考えるとクリーニング店の安さの秘密がわかるような気がしますね。

この機械は「トンネル・フィニッシャー」といって、上着やブレザー、ブラウスなどにも使用されています。

トンネル・フィニッシャーとは?

  • 乾燥機から出てきた衣料品をハンガーにかける。それをトンネル・フィシャーに入れ「衣類はコンベアの中」へ入っていく。
  • 中では熱い蒸気が衣料品にかけられて「蒸された状態」になる。
  • 衣料品はステンレスの壁に何度も当てられながら「熱風」がかけられ乾燥させていく。

この機械を使うことで、かなりのスピードアップと人件費の削減ができますが、一部の製品には使用することはできません。

ドライクリーニングしたものには大変有効な機械なのですが、「ニット製品」「水洗いしたもの」はきちんとアイロン掛けをしなくてはならいため、実は万能とはいえません。

しかし、こういった作業の実態をクリーニング店ではあまり公表をすることはなく、それは機械=「手抜き」と思われてしまい、一点ずつのアイロン掛けの方が喜ばれるからだといいます。

知っていますか?クリーニング店での作業工程

私たちが出した洗濯物は、その後いったいどのような流れで仕上がりまで進んでいくのでしょうか?

その過程を知る機会は消費者の私たちにはそれほどありません。

では、どのような流れで洗濯されていくのか見ていきましょう!

■受付

衣料品の素材や機能などを考えてクリーニングの方法を確認します。

また、シミや傷があるか確認します。

 

■マーキング

預かった洗濯ものに名前を付けていきます。

紛失や他のお客様と間違えが生じないように注意していかなければなりません。

 

■洗前検品

受付での検品はトラブルを未然に防ぐために重要なことですが、実際にそこまでの時間をかけて検品することはできません。

従って見落とすことが十分考えられますので、洗前検品では技術者による「シミ」「退色」「傷」の二重チェックが行われます。

ここで異常や欠陥が発見された場合は、お客様と連絡をして確認をしてから作業に入ることになります。

 

■荷分け

ここでの目的は二つあります。

≪一つ目は洗濯物を安全に洗うため≫

例えば、ウールのスーツとニット製品を一緒に洗わないことなどです。

スーツなどの生地や縫製はとても丈夫に作られているために、機械に入れてもさほど型崩れはしません。

一方ニット製品はというと、非常にデリケートで着ているだけでも型崩れしやすいもの。

ですから、洗うときにはソフト洗いで慎重に洗う必要がでてきます。

≪二つ目は再汚染を防ぐため≫

最高の汚れ除去をするために、それぞれに合った汚れ度合の衣料と一緒に洗うことで再汚染を防ぎます。

例えば、ワンシーズンずっと着用していた学生服と数回着たオシャレ着のスーツとでは、比較にならないほどの汚れの差があるということです。

 

■洗浄

衣類の種類によって、「ドライクリーニング」と「ランドリー(水洗い)」に区別され洗濯されます。

・ドライクリーニングは水を一剤使わず、石油系溶剤のみを使い専用の洗濯機で洗います。

・ランドリーは水と洗剤、助剤(アルカリ剤など)を使い専用の洗濯機で洗います。

 

■乾燥

乾燥方法は3つに分けられています。

タンブラー乾燥…回転乾燥機を使用する乾燥法で、40~60°の熱風で行われる。ドライクリーニング(石油系溶剤)のみに使用される。

自然乾燥…自然の風で乾燥。ドライクリーニング(石油系溶剤)、デリケート洗いで行われる。

乾燥室乾燥…熱風による制止乾燥。デリケート洗いで行われる。

■仕上げ

  1. 変形や風合いの変化がないか確認し、あった場合は修復する
  2. シワを除去する
  3. 除菌・消毒する

ドライクリーニングの衣料は多種多様であり、また仕上げも多彩です。

もちろん全てが機械で仕上げることはできませんから、処理できない部分などは「手仕上げ」となります。

 

■包装・最終検査

洗浄、乾燥が終わり最後の仕上げ、衣類に合った「プレス」「アイロン」が行われます。

付属品の有無や、きちんと元通りに付けられているのかを確認し、ほつれやボタンがとれかかっている場合には補修します。

最後に包製が行われ、さらにもう一度最終検査を受けてからお客様に渡されます。

 

意外と知られていなかったクリーニング店の流れ、いかがでしたか?

思っていた以上に入念なチェックと細かな神経が使われていることに驚きです。

これから先、良いクリーニング店との出会いをするためにも

流れを知っておくことは大切なこと、ぜひお役立てくださいね!