あなたの知らない自衛隊の世界…現場で活躍する「野外洗濯セット」

昔から、世の中で特に“怖いもの”を言い表す表現としてお馴染みの

「地震、雷、火事、親父」

ここでは、最後の“親父”だけを一時的に除外させて頂きますが…こうした災害が実際に起きた時、その第一線で救助や復興作業の中心として活動するのが“自衛隊”です。

今だ私たちの記憶にも新しい、東日本大震災。

この時にも自衛隊の活躍は大きくクローズアップされ、多くの国民がその姿に勇気付けられると共に、熱い感動すら覚えた方も多いのではないでしょうか。

 

野外生活のプロ集団は“野外洗濯”のプロ集団?

自衛隊は、いわば“野外活動”のプロ集団。

「衣・食・住」

私たちの生活で欠かすことのできないこれら3要素も、自衛隊では文字通り“野外”での活動が想定されています。

そのため自衛隊には、私たち一般人の想像を超えるような驚きの装備が配備されていることもしばしば。

そのひとつが、陸上自衛隊の誇る“野外洗濯セット”です。

陸上自衛隊の野戦訓練や災害時の活動ともなると、隊員は同じ戦闘服(作業着)を何日も着続けて訓練や作業に従事…というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんね(実際にそうしたケースも多々あります)。

しかし、実際のベースキャンプには先述した“野外洗濯セット”という装備が配備されることも少なくなく、隊員は野外でも戦闘服を洗濯することが可能なのです。

 

これが“野外洗濯セット”の実情だ!

陸上自衛隊の需品科に装備されている“野外洗濯セット”は、隊員の戦闘服の洗い・脱水・乾燥といった洗濯に関わる全ての工程を、同時かつ容易に行うことができる装備で、後方支援連隊補給隊などに配備されています。

乾燥機を搭載した73式大型トラックで、洗濯機、脱水機、給水ポンプ、発電機が搭載された1tトレーラーを牽引する形の野外洗濯セット。

気になる諸元・性能は以下のようになっています。

 

■トレーラ搭載機材

  • 洗濯機 (回転ドラム式電動機逆転方式、作業服約20着洗濯可)
  • 脱水機 (筒式自動調心遠心分離式、作業服約14着脱水可)
  • 給水ポンプ
  • 発電機
■乾燥室

  • 乾燥機本体(天幕型折りたたみ式、作業服42着収容可、乾燥時間約30分)
  • 熱風発生炉
  • バーナー
  • 発電機
  • 送風機
■付属品

  • 作業台
  • ザル
  • 収納箱
  • 工具箱

意外や意外…洗濯機は今流行の“ドラム式”な上に、乾燥機まで完備されているとは驚きです。

木の間に張った洗濯ロープに洗いざらしの戦闘服を引っ掛けているイメージは、「今は昔」なのかもしれませんね…

 

気になる後継機…その実力とは!?

ちなみに、この野外洗濯セット。

現在では、さらに洗練化させて処理能力を倍増させた“野外洗濯セット2型”というのが登場しています。

“野外洗濯セット2型”の気になる諸元・性能は以下の通りです。

■トレーラ搭載機材

  • 全自動洗濯機 (作業服約40着/時洗濯可)
  • 乾燥機 (作業服約40着乾燥可)
  • 揚水ポンプ
  • 発電機
■業務用天幕一般用
■貯水タンク(ビニール折りたたみ式)
■付属品

  • 作業台
  • 洗濯かご
  • すのこ
  • シート

一度に洗える服の数が20着から40着へ増え、さらに洗濯機の様式が変わったことで脱水機も必要なくなるなど、確かに装備がスマート化されています。

個人的に気になるポイントは、付属品の変更内容。

無くなったザルの代用品が“洗濯かご”というわけなのでしょうか。

非常に細かいポイントですが、これもきっと“現場の声”に耳を傾けて、より効率化を図った上での結論なのだと思います。

しかし、実際に重役会議等で「ザルはやめて洗濯かごにしよう」などと意見交換している様子を想像すると、なんだか微笑ましく思ってしまうのは私だけでしょうか。。。

 

知っておいて損はない?ミリタリー衣類の洗い方

私たち一般市民が、陸上自衛隊の野外洗濯セットをお試しできる機会はまず無いと思われますが、私たち一般市民でも自衛隊のような戦闘服や装備品をご家庭で洗う機会というのは、大いに存在します。

自衛隊員を夫、あるいは妻に持つご家庭では戦闘服の洗濯も日常的なことでしょうし、サバイバルゲーム等を趣味に持つ“ミリオタ(ミリタリーオタク)”の方にとっても、そうした衣類の洗濯は珍しいことでもないでしょう。

ではここで、参考までに一般的なミリタリー衣類の洗濯方法を簡単にご紹介したいと思います。

これからサバイバルゲームを始めてみようとお考えの方…“サバゲ女子”を目指している方などにもご参考頂ければと思います。

  • 基本は水による手洗い(温水の場合は30℃以下)
  • ドラム式洗濯機の場合は、デリケートな洗濯物を洗濯するコースか回転を選んで洗濯すること
  • ブリーチ、スターチは使用しない
  • 洗濯後は軽く水を切り、そのまま干す
  • アイロンをかける時は低温で軽く済ませる(中温表示がある物は中温でも可)

以上が一般的なミリタリー衣類の洗濯方法になりますが、物によっては「Made In USA」という品も多いことから、タグに表示されている洗濯方法が英語で書かれていることも。

そうした場合は、下記の用語と意味を参考に洗濯するようにしましょう。

  •  Do Not Remove This Label (このラベルを取り除かないでください)
  •  Hand Washing (手洗い)
  •  Do Not Wring or Twist (ねじって絞らない)
  • ・Do Not Use chlorine bleach or Starch (ブリーチ、スターチは使わない)
  •  Do not have commercially laundered.(洗濯屋に依頼しない)
  •  Wash inside out (裏返しに洗うこと)
  •  Do not wring (ねじらないこと)
  •  Not heat または Dry at low heat (加熱しない低温乾燥)
  •  Smooth by hand (手でしわを伸ばす)
  •  Warm iron (中温でアイロンがけ)
  •  Machine wash (洗濯機で洗う)
  •  Delicate cycle または Gentle cycle (繊細か優しい回転にして)
  • Separately (別々に、分けて)
  •  With like color (同系色のもののみ)
  •  Do not spin (遠心脱水しない)
  •  Tumble dry (乾燥機で乾燥)