「助けて!洗濯しても落ちないこのシミ汚れ…何とかしてちょうだい!」
そう言ってクリーニング店に持ち込まれる衣料品のシミ汚れは、ジュースやコーヒー、カレー、スパゲッティなどの飲食物を中心に、泥水、インク、朱肉、墨汁、絵の具、機械油などが多くを占めます。
しかし、そうした衣料品には、持ち込んだ本人すら気づいていないシミがついているケースも多々あり、中でも代表的なのが、“サビ”によるシミ汚れなのだとか。
“サビ”というと、「金属に浮くもの」という認識が一般的であり、また常識でもありますが、そんなサビのシミが衣服に出来てしまうというのはなぜなのでしょう。
気づかぬうちに付きやすいサビのシミ汚れ…そこにはどのような理由があり、どのように対処したらいいのかを見ていくことにします。
衣料品に“サビ”のシミが付いてしまう原因

衣料品の中でも、主に衣類にサビのシミが付いてしまう原因の多くは、普段身につけている装飾品にあります。
腕時計、ネックレス、ブレスレット、キーホルダー、バックなどの金属部分から付いた金属粉が酸化…次第に色が変わり、やがては“サビ”のシミとなるのです。
では、タオルケット、シーツ、毛布類の場合はどうでしょう?
よくあるのは、一直線上にポツポツと、ちょうど半分に折った部分に発生しているパターンです。
これらは、ご家庭で使用している物干し竿やベランダの手すりが原因になっているケースが目立ちます。
物干し竿やベランダの手すりは常に外気に触れているためサビやすく、一度錆や金属粉を落としても繰り返し発生してしまうことが少なくありません。
根本的な解決を望むのであれば、物干し竿なら買い換えるのが一番早い上に効率的です。
ベランダの場合は防錆剤の入ったペンキを塗るなどの処置が必要になります。
色々な“サビ”の種類
“サビ”と言うと、あの赤茶色の汚れをイメージするのが一般的だと思いますが、ひと口に“サビ”と言ってもその種類は多岐に渡り、単純に色で分けると、
✔ オレンジ
✔ 黒
✔ 緑
この4種類に大別されます。
赤茶色やオレンジは、サビの中でもポピュラーな“鉄サビ”とわかりますが、黒や緑の場合はどのようなサビになるのかご存知でしょうか?
黒は“銀金属製品”、緑は“銅金属製品”のサビになります。
時計やネックレスなどのアクセサリーで、“銀”はともかく“銅”をメインに使った製品はあまり見かけないかもしれませんが、メインの素材ではなくとも、時計やネックレスにはいろいろな金属が混ざっていることがよくあります。
その中のわずかな銀や銅が酸化してサビの原因になるのです。
そうした理由から、近年その消臭力に注目が集まっている銀イオン配合の脇用消臭スプレーなども、実は服の脇部分の黒ずみに繋がる原因になり得るため、注意が必要です。
比較的限定される“サビ”のシミが発生する場所
衣類に浮かぶサビのシミには、まばらに飛び散っているものもありますが、多くのシミには発生場所がある程度限られている特徴があります。
✔ 首周り(主な原因…ネックレスやペンダント)
✔ 脇部分(主な原因…消臭スプレー)
あまり見かけることがない、衣類に付いたサビによるシミですが、通常の洗濯機を使った洗い方で落とすことはできるのでしょうか?
イメージ的には落とすことが難しそう思えるサビのシミ…はい、その通りでございます。
一度衣類に付いてしまったサビのシミは、洗濯機で洗うだけでは中々落ちない厄介な汚れのひとつ。
そのため、ご家庭で洗う場合には洗濯前の“前処理”を行うことによって、仕上がりに大きな差が生まれるのです。
家庭で出来るサビ落としの前処理
■レモン汁

サビのシミにレモン汁を垂らし、乾かないようにしたまま24時間放置した後、洗います。
それでも落ちない場合はレモン汁に塩を混ぜ、シミの部分を少し擦ってから洗ってください。
衣類によっては生地を傷めたり、逆にシミの原因になる場合もありますので、目立たない場所で事前にテストすることをおすすめします。
■お酢

料理を作る時に使用する一般的なお酢で構いません。
小皿などに入れたお酢の中に、サビのシミ部分が乾かないように浸して24時間放置した後洗います。
■重曹のペースト

サビのシミ部分に水で溶いた重曹を塗り、3時間くらい放置した後洗います。
摩擦に強い生地の場合は、歯ブラシで擦ってから洗ってください。
使用する重曹の量は、お好みで構いません。
上記3つの前処理を試して洗濯したにも関わらず、期待通りのシミ抜き効果が得られない場合は、素直にプロのクリーニング店に相談しましょう。
クリーニング店には専用のサビ落とし剤や薬品をはじめ、繊維から鉄粉を取り除くブラシや超音波装置、スプレーガンなどが揃っています。
困った時のプロ頼み…一度試してみる価値は十分にあります。