性病感染者と一緒の洗濯機を使っていいの?~デリケートな問題

性病・・・と聞くと、恥ずかしさと嫌悪感でこのページを閉じてしまう方もいらっしゃると思いますので、最初に一言だけ言わせてください。

「デリケートな問題だからこそ、読んでほしいページなのです」

間違った知識は、一緒に住んでいるご家族やパートナーを必要以上に傷つけてしまうこともあります。

「性病感染者の下着と一緒に洗濯をするとピンポン感染してしまう」

上記は、昔から言われていることですが、実は大間違い

間違った性知識の代表のようなものです。

多くの性病の病原菌はすぐ死滅する

性病の代表格が、「梅毒」「淋病」「クラミジア」ですよね。

上記の三つの性病は、やはり性行為による感染が多いので、自分が感染していない状態でパートナーに感染したと告白されると不快嫌悪感を覚えてしまうものです。

しかし、だからといって「洗濯物を別にしなくてはならない」ということはありません。

では、三つの性病について、少しだけご説明いたします。

一緒に洗濯をしても問題ないという理由がわかると思いますので、偏見のある方は特にお読みくださいね。

梅毒

梅毒の病原菌である「梅毒トレポネーマ」は乾燥に弱く、温度の差にも弱いので、基本的に人体から離れて長時間に渡って生存するのは不可能です。

よって、梅毒患者さんと一緒のお水で洗濯しても問題はありません。

淋病

淋病の病原菌である「淋菌」は、粘膜や体液が直接接触することによって感染します。

淋菌は、生きている細胞に寄生するような形で生きていますので、体液がない場所では繫殖もできませんし、感染もできません。

よって、淋病患者さんと一緒のお水で洗濯したからといって感染する心配はありません。

性器クラミジア

性器クラミジアの病原菌である「クラミジア・トラコマチス」は、乾燥に弱く空気に触れるとすぐに死滅する生命力の弱い菌です。

人間の体から離れると死んでしまうため、空気感染はしませんし、下着を一緒の水で洗ったからといって感染することはありません。

よって、「クラミジアに感染した患者の下着は別に洗わなければならない」というのは誤解です。

 

感染してしまったら・・・洗濯をする際に周囲への気遣いを

ここまでで、性病に感染してしまった人と同じ水で洋服や下着を一緒に洗っても問題はないということをご理解いただけたと思います。

しかし・・・自分が感染してしまった場合は、周囲への気遣いをするのがマナーです。

同時に洗濯することにより感染する心配はないとはいえ、周囲は少し戸惑ってしまうもの。

いくら勉強した知識を説明して「心配ないよ」と伝えても理解を得られるとは限りません。

 

この場合は、悲しいですが一緒の洗濯をしないことが望ましいです。

周囲の気持ちを考えての考慮が大切になってきます。

しかし、周囲の同意を得て一緒に洗濯したいといった場合は、以下の方法で下着を消毒してから洗濯するようにしてください。

下記の方法は、本当にウィルスを殺すことのできる方法ですので、嘘を並べ立てているわけではありませんので、ご安心くださいね。

下着を消毒する方法

  1. キッチン専用漂白剤(キッチンハイターなど)を水道水で10倍に薄める329_1
  2. 上記の水をバケツに入れて、その中に下着を浸す329_2
  3. 一晩ほど置く
329_3

キッチンハイターには、「次亜塩素酸」という強力な殺菌剤が含まれていますので、ウィルスを殺すことができるのです。

ただし、レースの下着や絹の下着などのデリケートな素材でできた下着をキッチンハイターに浸した場合、破損してしまうことがありますので、必ず洗濯表示を確認してくださいね。

例外もあり・・・毛じらみだけは別に洗濯するのが望ましい

性病の病原菌は、人間の体から離れるとすぐに死滅する・・・とご説明いたしましたが、例外もあります。

それは、「毛じらみ症」です。

毛じらみというのは、人間の体から離れて約1時間ほどで死滅するのですが、『卵』は生存している場合が多いのです。

毛じらみは、顕微鏡でしか確認できないような病原菌とは違い吸血性の昆虫なのです。

成虫は、陰毛の中で産卵をするので、激しいかゆみを伴うのが特徴。

また、他の衣類に移動する場合がありますので、毛じらみに感染してしまった場合は、他の家族とは別に消毒する必要があります。

毛じらみになってしまった際の下着の消毒方法

毛じらみに有効なのが、熱湯による消毒です。

  1. 洗濯おけに、55℃以上の熱湯を入れる329_4
  2. その中に、スミスリンパウダー(毛じらみに有効な医薬品)と下着を入れる
  3. お湯が冷えるまでつけ置く329_5
  4. お湯が冷えたら手洗いする
  5. 乾燥機(自宅にない場合はコインランドリーでも可)を使い、最高温度で20分以上乾燥させる

スミスリンパウダーは薬局に売っていますので、病院に行かなくても購入できますが、毛じらみになってしまった場合は早めに受診してくださいね。

感染者を増やさないことが大切なポイントです。