全自動洗濯機…それは、人類の英知が生み出した歴史的発明品のひとつと言っても過言ではありません。
洗い、すすぎ、脱水、乾燥…本来であれば、人の手で行わなければならない全ての工程がスイッチひとつでオートメーション化されたことにより、一体どれだけ多くの人がひび割れ、あかぎれ、しもやけなどの肌疾患から解放されたことでしょう。
二層式洗濯機?それは平成生まれの人には通じない言葉です。
洗濯板?それは何万年前の化石ですか?
洗濯が終わるまでの間、あなたはこれからもずっと、ただ優雅にコーヒーブレイクでもしていれば良いのです…と、言いたいところですが、本当にそれでいいのでしょうか?
全自動洗濯機の仕事ぶりを先人たちが目にしたら、きっと彼らは口を揃えてこう意見することでしょう。
「昔の洗濯機の方がイイ働きをしていたわ」
これは一体どういうことなのでしょう…?
便利さの代償として失われた洗濯機の“洗浄力”
先進の技術から生まれた最新型の洗濯機。
なのになのに、いざ蓋を開けてみると、洗い上がった洋服には洗剤の溶け残りが付着…なんていう経験はございませんか?
洗剤は水にしっかり溶けきることで、初めて真の効果を発揮します。
最近は水に溶けやすい液体洗剤が主流ですから、最初に洗剤を入れてしまえば洗濯が完了するまでそのままお任せ。
洗剤がちゃんと溶けているかはもちろん、洗剤液に衣類がちゃんと浸かっているかどうかなどは、いちいち確認しないという方がほとんどでしょう。
しかし、それではたとえ最新型の洗濯機でも望むような結果は得られないと、始めにお伝えしておきます。
技術の進歩に伴い、洗浄力は増しているように思える最近の全自動洗濯機ですが、単純に洗浄力で比較をすると、実は昔の2層式洗濯機の方が上。
洗浄力が高いということは、イコール“かくはんパワー”も強いということで、液体洗剤はもちろん頑固な汚れと相性が良い粉末洗剤を使っても、溶け残りが少なくて済むのです。
全自動だからといって100%の仕事をするとは限らない
かつて、H社から発売されていた全自動洗濯機には、“洗剤パワーチェンジャー”という機能が搭載されていました。
洗剤と水をモーターの力でかくはんして溶かし、きめ細かくクリーミーに濃縮した洗剤液をつくり出す…ということで、普通に考えても通常より洗剤の溶け残りは少なくなるはずなのですが、ネットに寄せられた意見を見ていると、かなりの確率で“仕事をサボる”という声が目立ちます。
つまり、「洗剤が溶け残る=汚れ落ちがいまいち」というわけです。
英知を極めたはずの全自動洗濯でありながら、こうした初歩的ミスを犯していては、先人達に鼻で笑われても仕方がありません。
こうした洗剤の溶け残り問題については、液体タイプ・粉末タイプに関わらず多くの方がお悩みの様子。
あなたも普段使っている洗濯機を、もう一度よくご確認ください。
洗剤や柔軟剤の投入口に、白いカスがこびりついていませんか?
それは紛れも無く、洗剤の溶け残りですよ。
最初から水に溶けた状態の液体洗剤や柔軟剤であっても、洗濯機の中では水に溶けていない(混ざりきっていない)ことが多々あるのです。
詰め替えケースの中に古い洗剤や柔軟剤が残っている場合も要注意。
そこに新たに継ぎ足すことで層になり、溶けにくい状態になっているかもしれません。
また、日に日に寒さが厳しくなるこれからの季節は、夏場に比べて水温もグッと下がります。
冷たい水では洗剤はより一層溶けにくくなりますので、「全自動だから・液体洗剤だから」と油断をしていると、最後に手痛いしっぺ返しが待っていたりするのです。
全自動の便利さを生かすも殺すもあなた次第…
二層式よりも洗浄力が劣ると言われる全自動洗濯機。
両者の差を埋めて全自動洗濯機の名誉を挽回するためにも、ここはひとつ、洗剤にひと手間加えることで洗浄力のアップを図りましょう。
方法はいたって簡単。
洗剤をあらかじめ溶かしきってから使えばいいのです。
しかし、そのひと手間が「面倒くさい」と感じる方も多いはず。
でも、今さら全自動洗濯機から二層式洗濯機へ鞍替えする気になれますか?
全自動の便利さを失うか、ほんのひと手間加えるだけか…両者を天秤にかけてみれば、自ずと答えは出てくるはずです。
効果的な洗濯洗剤の溶かし方
1.バケツや洗面器に洗剤とぬるま湯を入れ、かき混ぜて溶かす。
この時、素手で混ぜると人によっては手荒れを起こすことがありますので、敏感肌の方はかき混ぜ棒や泡だて器を使い、直接洗剤が触れないように工夫しましょう。
2.洗濯層にぬるま湯を少量ためてから、かくはんして溶かす。
この時、かくはんに時間を取られる分、洗浄に充てる時間が減ってしまうので、その分の洗浄時間を追加させましょう。
3.インスタントコーヒーなどの空きビンや、使っていない麦茶用のポットに洗剤とぬるま湯を入れ、シェイクしながら溶かす。