しかし、紅茶と緑茶のシミであれば、実はあなたが思っている以上に深刻になる必要はありません。
それほど色素が強くなく、水に溶けやすい「水溶性」の汚れの一種である紅茶や緑茶のシミは、水洗いと台所用洗剤の組み合わせだけで取り除ける場合がほとんどなのです。
しかし、だからと言って、シミをそのまま放置していてはいけません。
紅茶や緑茶に代表される水溶性のシミは、時間が経つと酸化して「漂白のシミ」に変化しやすいのです。
そうなってしまうと、水洗いだけでは落とすのが難しく、漂白処理をする必要が出てきます。
汚れの種類に関係なく、シミがついたら出来るだけ早く取り除くように心掛けるのが、シミ抜きにおける鉄則です。
起きてからでは手遅れになる「色落ち」を防ぐには
わずかな気の緩みから大切な衣類につけてしまった紅茶や緑茶のシミ。
一刻も早く汚れを取り除きたい気持ちはわかりますが、その衣類が色柄物である場合は、下記の方法で事前に「色落ちテスト」を行う必要があります。
- 白いタオルに洗浄液をつけます。
- 洗浄液をつけたタオルで、衣類の目立たない場所をトントンと軽くたたきます。
- タオルに色がついたら、その衣類は家庭での洗濯で色落ちしてしまいます。
この色落ちテストで色がついた場合は、ご家庭でのシミ抜きを控え、お近くのクリーニング店にご相談ください。
試してみよう!ブラウスに付いた紅茶や緑茶のシミ抜き方法
さて、ここからは実際に紅茶や緑茶のシミ抜き方法についてご紹介していきます。
①紅茶や緑茶のシミが付いた部分を軽く水で濡らし、台所用の中性洗剤をつけます
綿やポリエステルといった素材の場合は、洗剤を衣類に直接かけても構いません。
それ以外のデリケートな素材の場合は、洗剤を少し水で薄め、染み抜き棒で優しくトントン…とつける方法がおすすめです。
※使用する洗剤は基本的にどんな洗剤でも構いません
※使いやすさという観点から言うと、台所用の中性洗剤がベストです
※アルカリ洗剤だと衣類の色落ちがしやすくなるので注意が必要
※蛍光剤入りの洗剤を使用する場合は、衣類によって色目が変わることもあります
②紅茶や緑茶のシミが付いた部分を揉みほぐします
衣類の素材が綿やポリエステルの場合は、紅茶や緑茶のシミが付いた部分を手で揉みほぐします。
デリケートな素材の場合は、染み抜き棒や歯ブラシなどを使用し、シミの範囲が小さい場合は綿棒の使用がおすすめです。
一度試してみて効果があまり感じられなかった場合は、同じ処理を繰り返すことで汚れ落ちが良くなります。
また、洗剤をつけしばらく放置するのも、有効です。
ただし、デリケートな衣類の場合はスレや色落ちが起きやすいので、手で揉むことはお控えください。
※デリケートな衣類のシミ抜きには、シミ抜き棒を使用します。
※シミ染み抜き棒を使用する時の注意点は、下の生地が濡れないように裏側にタオルを入れ、優しくトントン…と叩くこと。
※洗剤が乾いてきたら途中で付け足しながら、少しずつ進めてください。
③紅茶や緑茶のシミが付いた部分を水ですすぎます
紅茶や緑茶のシミが付いた部分を、水で軽くすすいでください。
もし、シミがまだ薄く残っているのであれば、①の処理を繰り返すことでより高い効果が望めます。
その後、紅茶や緑茶が付いたシミ部分を確認し、シミが取れていれば⑤に、シミが残っている場合は④の行程にそれぞれ進んでください。
④水ですすいだ後も紅茶や緑茶のシミが残っている場合は、漂白剤を使用します
漂白剤の使用にあたって特に注意する必要があるのは、色はげです。
従って、漂白剤を使用してシミ抜きを行う場合は、必ず目立たない場所で「漂白テスト」を行うようにしましょう。
方法は以下の通りです。
- 綿棒などを使い、衣類の目立たない部分に酸素系漂白剤を少しだけ塗ります。
- 衣類に塗った漂白剤の反応を高めるために、ドライヤーで加熱します。
- その結果、脱色していなければ漂白テストはクリアーです。
基本的に、漂白剤を塗った部分が色ハゲ(脱色)しなければ問題ありませんが、テストの結果、もし脱色が発生した場合は、漂白剤でのシミ抜きはストップさせてください。
この時に使用する酸素系の漂白剤は、オキシドールでも代用できます。
一方、塩素系の漂白剤は、衣類の染料まで脱色してしまう作用があるので、真っ白な衣類以外には使用を控えましょう。
一度脱色して白くなった部分の色は元に戻すことができないため、くれぐれもご注意ください。
⑤紅茶や緑茶のシミが消えていた場合は、そのまま衣類に合った方法の洗濯に移ります
水ですすいだ後に紅茶や緑茶のシミが消えていることを確認できたら、そのまま洗濯機を使用して衣類に合った方法で洗濯を行いましょう。
洗濯や乾燥後になると、シミは取れにくくなるため、シミ抜きは基本的に洗濯前に行うようにしてください。
紅茶と緑茶。
どちらも日本人に愛飲されて長い歴史を持つお茶のひとつですが、歴史の陰には繁栄と衰退があるように、紅茶と緑茶にも目を背けてはいけない現実があるのです。
それが、「シミ抜き問題」です。
大切にしていた服に紅茶や緑茶のシミを作ってしまい、せっかくのティータイムを台無しにしてしまった…そんな「苦い」経験をされた方は少なくないはず。