未だ出口の見えない不況に喘ぐ現代日本。
そこで生き残るには、「手に職をつける」ことが唯一の手段とも言われています。
しかし、手に職をつけるためには、免許や資格の取得が条件になるケースがほとんど。
自動車の運転免許を筆頭に、世の中には様々な免許や資格が存在します。
そして、そこには“洗濯”に関する資格も含まれていることを、あなたはご存知でしょうか?
プロとして洗濯の業務に携わる際に必要となる資格に“クリーニング師”というものがあります。
あまり聞きなれない“クリーニング師”なる資格ですが、今回はこの“クリーニング師”についてご紹介したいと思います。
クリーニング師とは?
どこの業界にも、その業種にまつわる法律というのが存在します。
それはクリーニング業界でも同じこと。
クリーニングに従事する人を対象とした「クリーニング業法」という法律が定められており、そのクリーニング業法によって定められた試験に合格した人が、“クリーニング師”の免許を取得できるのです。
また、店舗を構えてクリーニング業務を行うには、一人以上クリーニング師を置かなくてはいけません。
そのため、クリーニング師はクリーニング業務を行う上で欠かすことの出来ない重要なキーパーソンと言えます。
ただし、すべてのお店でクリーニング師が必要なわけではありません。
実際にクリーニングの作業をする場所にはクリーニング師が必要ですが、洗濯物の受け渡しだけを行う店であれば、クリーニング師を置く必要はないのです。
クリーニング師試験の内容は?
クリーニング師の資格というのは、実は国家資格のひとつになります。
しかし、免許を交付するのは各都道府県知事になるため、試験は各都道県ごとに行われています。
チャンスは年に1回です。
受験資格
受験するにも、実務経験や養成施設での過程を終了しなくてはいけない美容師や調理師とは異なり、クリーニング師の場合は中学卒業以上の学歴があれば誰でも受験が可能です。
試験内容
クリーニング師の試験は、各都道府県によって内容に多少の違いがあります。
しかし、学科試験と実技試験という二部スタイルは全国共通です。
ここでは、昨年行われた東京都のクリーニング師試験を参考に、内容をご紹介したいと思います。
学科試験
- 衛生法規に関する知識
- 公衆衛生に関する知識
- 洗濯物の処理に関する知識
上記3つより出題されます。
洗濯には何よりも清潔さが求められますので、試験では伝染病の知識をはじめ殺菌方法に関する知識など、衛生面全般に関わる幅広い知識が必要となります。
実技試験
■アイロンを使っての仕上げの実技
ワイシャツはアイロン仕上げの基本とも言えるだけに、実技試験として採用されている都道府県が多くなっています。
しかし、中には足袋のアイロン仕上げが実技試験になっている地域もあるようです。
■繊維の鑑別
実際に生地を触り、何の繊維かを当てる試験です。
クリーニング屋さんは仕事柄、生地に触れただけで繊維を見分ける技能に長けており、試験でもこの繊維の鑑別の腕が試されます。
試験対象は、シルク、綿、毛などの5種類です。
■シミの鑑別と染み抜き
クリーニング屋さんにとって欠かすことの出来ない“シミ抜き”の技術。
これも実際にシミを見て何のシミかを当てると同時に、そのシミに対して有効な薬品を選定する知識を求められます。
試験対象はマジック、サビ、墨などこちらも5種類です。
交付された免許証は更新せずに使い続ける
学科と実技の両試験に合格してから免許の申請をすると、晴れてクリーニング師の仲間入りです。
免許証は試験を受けた各都道府県の知事の名前で交付されます。
資格取得後、実際にクリーニングの業務に携わっていくと3年に1度の頻度で、クリーニングの知識や関係法令などにまつわるクリーニング師研修への参加が義務付けられていますが、そこで免許証自体が更新されるわけではありません。
よって、取得した当時のままの免許をずっと使い続ける形になります。
まとめ
あなたがもし、クリーニング店を経営しようとお考えであるなら、先ずはこうした国家資格を取得しなくてはいけません。
もしくは、そうした資格を持ち合わせる人物を、最低でも1人以上は作業を行う現場に置いておく必要があるのです。
また、クリーニング店の経営までとはいかなくとも、「三度の飯より洗濯好き」というような方は、ご自身のスキルアップのためにもチャレンジしてみると面白いですよ。
クリーニング師は立派な国家資格のひとつですから、もちろん履歴書にだって記載OK。
就職活動中の方であれば、きっと大きなアピール要素にもなりますよ。
クリーニング師試験の日程や試験内容に関しては地域によって異なるため、お住まいの地域の保健所に問い合わせてみてください。
明日の日本のクリーニング界を支えるのは、あなたかもしれませんよ。