「絶対に洗濯機で洗ってはいけないもの」と聞いて、あなたは何をイメージされますか?
恐らく、多くの方が“カッパ(合羽)”とお答えになるはずです。
「カッパ(合羽)は絶対に洗濯機で洗ってはいけない」という話は、誰もが一度は耳にしたことがあると思います。
では、他にはどのようなものがあるでしょう?
え…?パソコン?スマホ?犬?猫?人間?
確かにそれらも絶対に洗ってはいけないものですが、もっと身近なものとして“おねしょシーツ”もそのひとつに挙げられることを、あなたはご存知でしたか…?
カッパ(合羽)だけではない~洗濯機を壊すもの
西○屋や赤ちゃ○本舗といった小さいお子さん用の衣類や寝具を扱うお店では、就寝時にお子さんの“粗相”から布団を守る、おねしょシーツが販売されています。
布団は汚れても気軽に洗うことができる代物ではないため、年頃のお子さんを持つご家庭では愛用している方も多いのではないでしょうか。
おねしょシーツは防水・撥水加工を施した繊維で作られていることから、おしっこが漏れても布団にしみこむことはなく、汚れてもシーツだけを洗って取り替えればいいため、大変便利なアイテムと言えます。
しかし、そんな便利アイテムのおねしょシーツが、思わぬところで予期せぬ事態を引き起こすケースが増えているのです。
「おねしょシーツを洗濯機で洗っていたら洗濯機が壊れた!」
そうです。
カッパ(合羽)を洗った時と同じ現象が、おねしょシーツの場合でも報告されているのです。
なぜそのようなことが起きるのでしょう?
故障を招く原因~高い防水・撥水性が脱水の妨げに
おねしょシーツの素材には、裏面にポリエステルやポリエチレン、ポリウレタンが使われ、水を通さないよう加工されています。

そんな“水を通さない”素材のおねしょシーツを脱水にかけようとすると、洗濯槽の内側にシーツが張り付いて排水が困難な状況になり、水が溜まってしまいます。
洗濯機は、洗濯槽が高速回転することで発生する遠心力を使って洗濯物の水分を飛ばすわけですが、この状態で洗濯槽が高速回転をすると、排水しきれなかった水の重さで洗濯機が異常な振動を起こしてしまうのです。

先に触れたカッパ(合羽)をはじめ、ウィンドブレーカーなどの防水性に優れた衣類を洗濯機で洗った結果、故障してしまうケースはこれまでも報告されていましたが、おねしょシーツで同じことをやってしまうと、その被害はより甚大なものになる恐れがあります。
おねしょシーツは一枚の面積が広い分水をため込みやすいので、脱水時に洗濯機へ掛かる負担が大きくなるのです。
振動するだけならまだしも、ひどい場合には洗濯機が横倒しになったり、さらにはそのはずみで周囲の壁を壊してしまうケースもあるほど。
某洗濯機メーカーのホームページでも、実際に起きた事故の事例として紹介されていますので、おねしょシーツを洗濯機で洗うような行為はできるだけお控えください。
洗濯する時には必ずシーツの素材を要チェック
洗濯をしたがために洗濯機を壊してしまっては、本末転倒。
それでは洗濯機も浮かばれません。
そのようなトラブルを未然に防ぐためにも、おねしょシーツの購入時や洗濯時には、洗濯表示タグを必ず確認しておくようにしましょう。

最近は、ISO規格の洗濯表示タグが使われるケースも増えてきましたが、そこでは脱水・乾燥についての表示が記載されており、物によっては“脱水は行わずに吊り干しをする”という指定がなされていることもあります。
また、洗濯機によっては洗濯方法を細かく設定できるモデルもありますので、洗濯機を利用する場合は、おねしょシーツを洗う時だけ脱水をOFFにしてすすぎだけにするというのも、ひとつの方法です。
その場合、洗濯機への負担軽減と引き換えに、干すときは乾きにくいといった難点があります。
毎日洗濯が必要な場合は、複数枚を用意し交互に使うようにすると良いでしょう。
シーツの下に敷くなどして使い、おねしょなどの目立った汚れが見られない場合は、しばらく洗濯しなくてもそれほど問題ありませんが、汗などの湿気は吸っている可能性があります。
そのまま使用していると、湿気がこもってとカビやすくなりますので、洗濯はせずとも、時々は干すことをおすすめします。
丸洗いできるおねしょシーツもあり
また、最近では“洗濯機で洗える防水シーツ(おねしょシーツ)”という商品も売られていますので、どうしても洗濯機で脱水までしたいという方や、壊れることが心配な方は、あらかじめそうしたシーツを利用する方が安心かもしれませんね。
パイル地、ボア生地、マイクロファイバーなど、肌に触れる部分の素材にも色々なタイプが用意されていますので、お好みに合わせて選んでみましょう。
ただ、これは丸あらいできるタイプ・できないタイプに関わらず、おねしょシーツは電気毛布など熱を発するものと併用すると、防水加工された生地が傷みやすくなりますので、その点だけはご注意ください。